書にいたる病

ものがたり大好き主婦の読書記録

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『硝子のハンマー』貴志祐介 | 【感想・ネタバレなし】自称:防犯コンサルタント(本当は泥棒?)が挑む驚愕の密室トリック、防犯探偵榎本シリーズ第1作

今日読んだのは、貴志祐介『硝子のハンマー』です。 自称:防犯コンサルタントで本職は泥棒?な榎本が密室に挑む榎本探偵シリーズの第1作目です。 泥棒が密室に挑むという斬新な設定も面白いですし、鍵や監視カメラに関する豊富なミニ知識も、へえ~、と感心…

『エチュード春一番 第二曲 三日月のボレロ』荻原規子 | 【感想・ネタバレなし】思いやりと知性の在り方に思いをはせる夏。シリーズ第2巻。

今日読んだのは、荻原規子『エチュード春一番 第二曲 三日月のボレロ』です。 八百万の神の一柱を名乗る白黒のパピヨン・”モノクロ”と同居する女子大生・美綾の生活を描いたファンタジーシリーズの第2巻です。 1巻の感想はこちら↓ rukoo.hatenablog.com 1巻…

『エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード』荻原規子 | 【感想・ネタバレなし】春、八百万の神を名乗る犬と出会った。不安と期待に揺れる新生活と幼い日々のほろ苦い後悔が交錯するちょっと不思議なファンタジー

今日読んだのは、荻原規子『エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード』です。 今作は、八百万の神と名乗る犬(!?)と同居することになった女子大生という設定で、神との同居という非日常と大学生の生活という日常の描写、両方を楽しめると期待が膨らみ…

『草原のコック・オー・ヴァン 高原カフェ日誌II 』柴田よしき | 【感想・ネタバレなし】高原のカフェの秋と冬。一筋縄ではいかない人生にもやがて春が来る

今日読んだのは、柴田よしき『草原のコック・オー・ヴァン 高原カフェ日誌II』です。 こちらは、高原のカフェを舞台としたシリーズものの2作目にあたります。 1作目の感想はこちら rukoo.hatenablog.com 結婚に失敗し傷を負った主人公・奈穂は、東京から脱出…

『もう泣かない電気毛布は裏切らない』神野紗希 | 【感想・ネタバレなし】俳人であり新妻であり母であり…他愛のない日常がきらめく今を生きる俳人のエッセイ集

今日読んだのは、神野紗希『もう泣かない電気毛布は裏切らない』です。 1983年生まれの現代に生きる女性であり、妻であり母であり、俳人でもある著者がどのように日々を綴るかに興味を惹かれ、読み始めました。 結婚、夫との日々、幼い息子の眼差し、俳句へ…

『風のベーコンサンド 高原カフェ日誌』柴田よしき | 【感想・ネタバレなし】爽やかな高原の風と、美味しい料理と共に描かれるちょっとほろ苦い人生模様

今日読んだのは、柴田よしき『風のベーコンサンド 高原カフェ日誌』です。 サスペンスに定評のある著者ですが、本書は高原のカフェを舞台とした穏やかな食べ物系小説です。 食べ物がテーマの話はなんでこんなに魅力があるんでしょうか。 高原にカフェをオー…

『奴隷小説』桐野夏生 | 【感想・ネタバレなし】「私たちは、泥に囲まれた島に囚われている」、異様な想像力が構築する”奴隷たる者”の世界

今日読んだのは、 桐野夏生『奴隷小説』です。 「奴隷的状況」を題材とした短編を集めた作品集で、身体的にまたは精神的に束縛され、自由を奪われた人々の姿が豊穣な想像力の世界で立ち現れます。 本書を読むことで、奴隷であるとはどういうことは、翻って、…

『バラカ』桐野夏生 | 【感想・ネタバレなし】大震災後の世界をさまよう少女の数奇な運命が圧倒的な疾走感と重量で描かれる

今日読んだのは、 桐野夏生『バラカ』です。 ポスト3.11文学の極北と言って過言ではない巨編でした。 被爆地に突如降臨した少女・バラカ。 彼女の数奇な運命の遍歴と、人々の欲望と弱さのグロテスクさ。 また、全編の根底に流れるミソジニーの根深さにゾッと…

『i』西加奈子 | 【感想・ネタバレなし】この残酷な世界にアイは存在するのか。生きることへの祝福に満ちた物語

今日読んだのは、 西加奈子『i』です。 「この世界にアイは存在しません。」 アメリカ人の父と日本人の母との間に養子として育てられたアイは、その繊細さと聡明さで、自分の”恵まれた”境遇に罪悪感を抱きながら育ちます。 世界中で沢山の人が苦しく辛い思い…

『パンダより恋が苦手な私たち』瀬那和章 | 【感想・ネタバレなし】恋愛に足りないのは野性? 恋も仕事もボロボロの編集者が挑む動物×恋愛コラム!

今日読んだのは、 瀬那和章『パンダより恋が苦手な私たち』です。 「動物奇想天外」と「生き物地球紀行」に夢中だった幼少期だったので、タイトルから思わず手に取ってしまいました。 ファッション誌志望だったのにカルチャー雑誌の編集にまわされ、いまいち…

『アムリタ』吉本ばなな | 【感想・ネタバレなし】生きることはおいしい水をごくごく飲むこと

今日読んだのは、吉本ばなな『アムリタ』です。 何かのあとがきで、著者自身はこの作品をあまり気に入っていないというようなことを書いていた記憶があるのですが、私はすごく気に入りました。 母親が離婚したり、父親の違う弟がいたり、妹が自殺したり、階…

『異類婚姻譚』本谷有希子 | 【感想・ネタバレなし】夫婦という名のぬらぬらした生き物が日常の浅瀬をうごめく

今回ご紹介するのは、本谷有希子『異類婚姻譚』です。 「ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた」専業主婦の日々を軽妙なタッチで描いた話です。 結婚してまだ日が浅い身からすると、「夫婦」という名のもとにぐちゃぐちゃと混…

『ミシンの見る夢』ビアンカ・ピッツォルノ | 【感想・ネタバレなし】お針子の少女が垣間見る上流階級の秘密と真実。”縫う”という技術一つで力強く生きる女性の姿を描く。

今回ご紹介するのは、ビアンカ・ピッツォルノ『ミシンの見る夢』 です。 著者のビアンカ・ピッツォルノはイタリアの児童文学の第1人者で、大人向けの作品は本書で3作目とのことです。 そのせいか、”19世紀末のイタリア”という異世界を描いた作品ながら、その…

『男ともだち』千早茜 | 【感想・ネタバレなし】異性の友人というややこしさを喝破する潔さに心洗われる、古い友人に会いたくなる一冊

今回ご紹介するのは、 千早茜『男ともだち』です。 これまで読んだ著者の本のなかで(エッセイも含めて)、著者の内臓に一番深く触れる小説だった気がします。 それだけに表現としての小説というより、良い意味でも悪い意味でも何かの吐露のような、洗練さよ…

『透明な夜の香り』千早茜 | 【感想・ネタバレなし】渡辺淳一文学賞受賞、古い洋館に棲む調香師が暴くヒトのどうしようもない欲望と秘密

今回ご紹介するのは、 千早茜『透明な夜の香り』です。 生々しく官能的かつ荒々しい著者の文章にすっかり魅了されてしまい最近乱読しています。 食の描写が特に素晴らしい著者ですが、第6回渡辺淳一文学賞受賞作の本書は官能的で荒々しい「香り」についての…

『アレグリアとは仕事はできない』津村記久子 | 【感想】何故か滅茶苦茶笑えるお仕事小説、怠惰なコピー機と闘う滑稽なOLの姿が、ズルい奴らへの怒りを浮き彫りにする

今回ご紹介するのは、津村記久子『アレグリアとは仕事はできない (ちくま文庫)』です。 アレグリアという欠陥複合機を相手に孤軍奮闘するOLの姿が、淡々と描かれている滑稽な小説です。 冷静に読むと結構暗い現実を書いているのに、はじまりから、クスクス笑…

『ミカンの味』チョ・ナムジュ |【感想・ネタバレなし】「82年生まれ、キム・ジヨン」の著者の新作! 枝から切り取られた後も、自ら熟す青い果実たちの日々

今日読んだのは、チョ・ナムジュ『ミカンの味』です。 食や文化などあらゆる流行が韓国から流れて生きているように感じますが、文学でもそ傾向が近年強くなったと感じます。 著者のチョ・ナムジュは、『82年生まれ、キム・ジヨン』が大ベストセラーとなって…

『この世にたやすい仕事はない』津村記久子 | 【感想・ネタバレなし】仕事とは一つの宇宙、ちょっと不思議でニッチなお仕事小説

今日読んだのは、津村記久子『この世にたやすい仕事はない』です 前職を燃え尽き症候群で辞めた36歳の女性が5つの短期のお仕事をする、という小説なのですが、どれも超マニアックな仕事ばかりで、世の中には変わった仕事が沢山あるものだと感心してしまいま…

『サード・キッチン』白尾悠 | 【感想・ネタバレなし】理解が欲しいわけじゃない、ただ受け入れてほしい。自分の、あなたのそのままの姿を。

今日読んだのは、白尾悠『サード・キッチン』です。 1998年、都立高校を卒業後、アメリカに留学した女性が、言語の壁や、様々なカルチャーショックを通して、臆病な自分と対峙していく物語です。 2020年の「ジョージ・フロイド事件」以降、「Black Lives Mat…

『盤上に君はもういない』綾崎隼 | 【感想・ネタバレなし】もう一度だけあなたと指したい、二人の女性が挑戦する前人未到の女性のプロ棋士への闘い

今日読んだのは、綾崎隼『盤上に君はもういない』です。 史上初の女性プロ棋士を目指す二人の女性の熱い闘いとその裏に隠された切ない過去を描いた小説です。 "女流棋士"と"女性プロ棋士"は全く違うということを、今作で、はじめて知りました。 男女関係なく…

『私は古書店勤めの退屈な女』中居真麻 | 【感想】自分で退屈な女と言う女は大抵退屈じゃない

中居真麻『私は古書店勤めの退屈な女』のあらすじと感想を紹介します。 夫の上司と泥沼不倫中のシニカルなヒロインとゆる~いおっちゃんの、古書店での不思議で愛しい日々。

『さんかく』千早茜 | 【感想】男女が一緒にいることには理由がいるのだろうか、食べることが浮き彫りにする男女の相克

千早茜『さんかく』のあらすじと感想を紹介します。大学教授とパフェを食べに行く場面が印象的。食べたいように生きたいようにすればいいという潔い態度が心地よい。

『チーズと塩と豆と』角田光代、井上荒野、森絵都、江國香織 | 【感想】4人の直木賞作家がヨーロッパンの都市を舞台に描く愛と味覚のアンソロジー

今日読んだのは、4人の直木賞作家のアンソロジー 『チーズと塩と豆と』です。 著者は、角田光代、井上荒野、森絵都、江國香織という錚々たる面々。 角田光代は、スペインのバスク。 井上荒野は、イタリアのピエモンテ。 森絵都は、フランスのブルターニュ。 …

『ひきなみ』千早茜 | 【感想】どれだけ傷めつけられても、脅かされないものがある

千早茜『ひきなみ』のあらすじと読書感想を紹介します。2人の少女の深い繋がりと、それがもたらす痛み。生きることの苦しみの果てに残る光が、新しい道をひらく。

『西洋菓子店プティ・フール』千早茜 | 【感想】日常は甘いことだけじゃない、でも、スイーツはいつも寄り添ってくれる

千早茜『西洋菓子店プティ・フール』のあらすじと感想を紹介します。スイーツをめぐる、甘く酸っぱく、ときにほろ苦い人間模様を六つの連作短編が描きます。

『ファミリーポートレイト』桜庭一樹 | 【感想】母と娘の呪いのような愛憎と、著者の物語ることへの渇望が晒される

桜庭一樹『ファミリーポートレイト』のあらすじと読書感想を紹介します。最後のシーンは、この世の母と娘の幸福な、そして失われた一瞬の時間に、祈りを捧げたくなるものでした。

『夢見る帝国図書館』中島京子 | 【感想】ゆめみるものたちの楽園 真理がわれらを自由にするところ

中島京子『夢見る帝国図書館』のあらすじと読書感想を紹介します。戦後を生きた女性の数奇な人生と、日本ではじめての図書館の時局に翻弄された歴史が響き合い力強い物語となって読者い響きます。

『少年の名はジルベール』竹宮惠子 | 【感想】少女漫画の常識を覆した革命家的漫画家の自伝的エッセイ

竹宮惠子『少年の名はジルベール』のあらすじと読書感想を紹介します。伝説の少女漫画家が綴る、物語より心熱くなる自伝エッセイです。

『青年のための読書クラブ』桜庭一樹 【感想・ネタバレなし】乙女よ、青年たるものよ、永遠であれ!

桜庭一樹『青年のための読書クラブ』のあらすじと読書感想を紹介します。乙女よ、青年たるものよ、永遠であれ!

『食堂メッシタ』山口恵以子 | 【感想・ネタバレなし】イタリアの料理を愛した清々しくたくましい女性シェフの半生を描く美味しい作品

山口恵以子『食堂メッシタ』のあらすじと読書感想を紹介します。ページから湯気が立ち昇るような美味しい一冊です。