書にいたる病

ものがたり大好き主婦の読書記録

宗教

『アールダーの方舟』周木律 | 【感想・ネタバレなし】三つの宗教が交錯する聖なる山で起きた不可解な殺人事件と壮大なる歴史ミステリー。人間存在の尊厳が問われる物語。

今日読んだのは、周木律『アールダーの方舟』です。 キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、3つの宗教共通の聖なる山・アララト山、ノアの方舟が漂着した土地として知られる山を舞台とした歴史ミステリー、という触れ込みに惹かれ手に取りました。 宗教と神にま…

『エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード』荻原規子 | 【感想・ネタバレなし】春、八百万の神を名乗る犬と出会った。不安と期待に揺れる新生活と幼い日々のほろ苦い後悔が交錯するちょっと不思議なファンタジー

今日読んだのは、荻原規子『エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード』です。 今作は、八百万の神と名乗る犬(!?)と同居することになった女子大生という設定で、神との同居という非日常と大学生の生活という日常の描写、両方を楽しめると期待が膨らみ…

『バラカ』桐野夏生 | 【感想・ネタバレなし】大震災後の世界をさまよう少女の数奇な運命が圧倒的な疾走感と重量で描かれる

今日読んだのは、 桐野夏生『バラカ』です。 ポスト3.11文学の極北と言って過言ではない巨編でした。 被爆地に突如降臨した少女・バラカ。 彼女の数奇な運命の遍歴と、人々の欲望と弱さのグロテスクさ。 また、全編の根底に流れるミソジニーの根深さにゾッと…

『吸血鬼』佐藤亜紀 | 【感想・ネタバレなし】革命の火種燻るポーランドの寒村にあらわれる吸血鬼の正体に国と民の残酷な断絶を見る

今日読んだのは、 佐藤亜紀『吸血鬼』です。 舞台は1845年のオーストリア帝国領最貧の寒村・ジェキ。 土着の風習が色濃く残る土地で、次々と人が怪死していきます。 が、ホラー小説やファンタジーなどではなく、著者の歴史に対する深い洞察に基づいた小説で…

『JR高田馬場駅戸山口』柳美里 | 【感想・ネタバレなし】子供を守ろうとすればするほど行き場所を無くしていく女。居場所のない魂が行き着く先とは

今回ご紹介するのは、柳美里『JR高田馬場駅戸山口 (河出文庫)』です。 2020年度全米図書賞(National Book Awards 2020)の翻訳部門を受賞した『JR上野駅公園口』が連なる山手線シリーズの一作です。 そちらの感想はこちら↓ rukoo.hatenablog.com 本書は2012…

『台北プライベートアイ』紀蔚然 | 【感想・ネタバレなし】台湾発のハードボイルド探偵が連続殺人事件を追いかける。この面白さは読まないと分からない!

今回ご紹介するのは、紀蔚然『台北プライベートアイ』です。 原題は『私家偵探』。 台湾人が書く私立探偵小説なんて、面白そうな予感しかしない!とビビっときて、そのまま夢中になって一気に読み上げました。 ジャンルを問われれば、”ハードボイルド”としか…

『無暁の鈴』西條奈加 | 【感想・ネタバレなし】仏は、浄土は、何処におわすのか。飢餓と貧困の世に一人の男の辿り着く遥かなる境地とは。

今回ご紹介するのは、西條奈加『無暁の鈴 (光文社文庫)』です。 著者は2021年に『心淋し川』で直木賞を受賞しています。 今作は受賞後の初文庫化作品とのことで、気になり手に取ってみました。 自らも殺人に手を染め、飢餓と貧困の地獄図を目の当たりにした…