書にいたる病

活字中毒者の読書記録

柳美里

『JR高田馬場駅戸山口』柳美里 | 【感想・ネタバレなし】子供を守ろうとすればするほど行き場所を無くしていく女。居場所のない魂が行き着く先とは

今回ご紹介するのは、柳美里『JR高田馬場駅戸山口 (河出文庫)』です。 2020年度全米図書賞(National Book Awards 2020)の翻訳部門を受賞した『JR上野駅公園口』が連なる山手線シリーズの一作です。 そちらの感想はこちら↓ rukoo.hatenablog.com 本書は2012…

『JR品川駅高輪口』柳美里 | 【感想・ネタバレなし】携帯電話で自殺掲示板を眺める女子高生は品川駅から約束の場所へ向かう。毎日毎刻生きることを選択し続ける、その尊さを温かな雨が濡らす

今回ご紹介するのは、柳美里『JR品川駅高輪口 (河出文庫)』です。 2020年度全米図書賞(National Book Awards 2020)の翻訳部門を受賞した『JR上野駅公園口』が連なる山手線シリーズの一作です。 そちらの感想はこちら↓ rukoo.hatenablog.com 本書は2011年に…

『JR上野駅公園口』柳美里 | 【感想・ネタバレなし】漂泊する死者の独白によって浮き彫りにされる私たちの歴史の影と死者への祈り

今回ご紹介するのは、柳美里『JR上野駅公園口 (河出文庫)』 です。 2020年度全米図書賞(National Book Awards 2020)の翻訳部門を受賞した作品です。 日本の歴史の影を具現化したかのような一人の男の生涯を、漂泊する魂の独白と雑踏から聞こえる無数の声に…