書にいたる病

活字中毒者の読書記録

梨木香歩

『沼地のある森を抜けて』梨木香歩 | 【感想・ネタバレなし】新しい命よ、解き放たれてあれ。壮大な命の旅路と震えるほどの孤独と自由、託された夢と可能性に心震える物語

今日読んだのは、梨木香歩『沼地のある森を抜けて』です。 叔母から受け継いだ先祖伝来の「ぬか床」という庶民的(?)なスタートから、途中不一気に不穏な雰囲気になり、最終的に、命のはるかな旅路と新しい生命に託された可能性と夢が描かれるという、壮大…

『村田エフェンディ滞土録』梨木香歩 | 【感想・ネタバレなし】国とは一体何なのか。かけがえのない友と青春の日々を綴るトルコ滞在記

今日読んだのは、梨木香歩『村田エフェンディ滞土録』です。 同著作の、『家守綺譚』『冬虫夏草』に登場するトルコ留学中の村田君が主人公です。 1899年、西洋と東洋の狭間の国・トルコに留学した村田君は、異教の友人らと議論したり、掘り出した遺跡に目を…

『冬虫夏草』梨木香歩 | 【感想・ネタバレなし】家へ、帰ろう

今日読んだのは、梨木香歩『冬虫夏草』です。 巻頭に、 新進文士(かけだしものかき)綿貫征四郎君、疎水に近隣(ほどちか)き高堂(なきとも)の生家(いえ)が守(もり)を委託(まか)され、故(ため)に天地自然の気(りゅうやらおにやらかっぱやら)と…

『家守綺譚』梨木香歩 | 【感想・ネタバレなし】友よ、また会おう

今日読んだのは、梨木香歩『家守綺譚』です。 読んだ後に心洗われるような心地がする話というのがあって、中勘助の『島守』なんかがそうなのですが、この『家守綺譚』はそれにとても近いと感じました。 時代は明治、巻頭には 左は、綿貫征四郎の著述せしもの…

『雪と珊瑚と』 梨木香歩 | 【感想】シングルマザーが森の中に総菜カフェをオープンするまでの軌跡を描く、葛藤と幸福な物語。

梨木香歩『雪と珊瑚と』のあらすじと読書感想を紹介します。一人の女性が困難な生い立ちのなかから生き方を切り開いていく様を描く強い一冊です。

『ピスタチオ』梨木香歩 | 【感想】アフリカの水と風が香る、死者のための物語を探す旅へ

『ピタチオ』梨木香歩のあらすじと読書感想を紹介します。 落ち着いた大人の物語、風や緑など自然を感じるお話が読みたい方におすすめです。