書にいたる病

活字中毒者の読書記録

芥川賞

芥川賞を全作読んでみよう第7回『厚物咲』中山義秀 |【感想】骨の髄まで腐った老人が咲かせた美しい菊に透かし見る人生の艱難に抵抗した魂の秘密

芥川賞を全作読んでみよう第7回、中山義秀『厚物咲』をご紹介します。 芥川龍之介賞について 第七回芥川賞委員 第七回受賞作・候補作(昭和13年・1938年上半期) 受賞作『厚物咲』のあらすじ 感想 選評委員の評価 芥川賞には珍しい読後感 生き恥を晒し続けた…

芥川賞を全作読んでみよう第6回『糞尿譚』火野葦平 |【感想】あまりに衝撃的なテーマで庶民生活の哀歓と糞のような人間模様を丹精に描く

芥川賞を全作読んでみよう第6回、火野葦平『糞尿譚』をご紹介します。 芥川龍之介賞について 第六回芥川賞委員 第六回受賞作・候補作(昭和12年・1937年下半期) 受賞作『糞尿譚』のあらすじ 感想 タイトルの衝撃と内容の丁寧さのギャップ 糞のような人間た…

芥川賞を全作読んでみよう第5回『暢気眼鏡 その他』尾崎一雄 |【感想】底辺の貧乏生活を天真爛漫な若妻に寄せてサラサラと描く牧歌的な作品群

芥川賞を全作読んでみよう第5回、尾崎一雄 『暢気眼鏡』をご紹介します。 芥川龍之介賞について 第五回芥川賞委員 第五回受賞作・候補作(昭和12年・1937年上半期) 受賞作『暢気眼鏡』のあらすじ 感想 貧乏を明るく描く 今後の期待に寄せて 今回ご紹介した…

芥川賞を全作読んでみよう第4回その2『地中海』冨澤有爲男 |【感想】地中海の朝焼けに溶けていく二人の男の友情。純文学とは思えないドラマティックさにドキドキが止まらない

芥川賞を全作読んでみよう第4回その2、冨澤有爲男『地中海』をご紹介します。 芥川龍之介賞について 第四回芥川賞委員 第四回受賞作・候補作(昭和11年・1936年下半期) 同時受賞の『普賢』について 受賞作『地中海』のあらすじ 感想 端正な筆致による美しい…

芥川賞を全作読んでみよう第4回その1『普賢』石川淳 |【感想】饒舌で混沌とした筆遣いが描く市井の人々の滑稽などったんばったん

芥川賞を全作読んでみよう第4回その1、石川淳『普賢』をご紹介します。 芥川龍之介賞について 第四回芥川賞委員 第四回受賞作・候補作(昭和11年・1936年下半期) 二作同時受賞について 受賞作『『普賢』のあらすじ 感想 饒舌な混沌 茂市という男 不可思議な…

芥川賞を全作読んでみよう第3回その2『城外』小田嶽夫 |【感想】青年官吏の外国での孤独と若き恋の日々を古雅な筆致で描く

芥川賞を全作読んでみよう第3回その2、小田嶽夫『城外』をご紹介します。 芥川龍之介賞について 第三回芥川賞委員 第三回受賞作・候補作(昭和11年・1936年上半期) 受賞作『城外』のあらすじ 感想 成長する若き愛情 中国への興味 著者の外交官経験 ただ『コ…

芥川賞を全作読んでみよう第3回その1『コシャマイン記』鶴田知也 |【感想】 アイヌの誇り高き酋長の末裔コシャマインの悲劇的な死を抒情詩的にうたいあげる

芥川賞を全作読んでみよう第3回、その1では、鶴田知也『コシャマイン記』をご紹介します。 芥川龍之介賞について 第三回芥川賞委員 第三回受賞作・候補作(昭和11年・1936年上半期) 受賞作『コシャマイン記』のあらすじ 感想 題材について 物語の徹底的な悲…

芥川賞を全作読んでみよう第2回 | 受賞作なしの裏側で躍動する歴史のドラマ

芥川賞を全作読んでみよう第2回は、第2回にしてなんと”受賞作なし”です。 ちょっとがくっときましたが、色々調べるうち、その裏側にはうねる歴史と人間のドラマがあることに気が付きました。 結構面白かったので、今回は、そのあたりを書いていきたいと思い…

芥川賞を全作読んでみよう第1回 『蒼氓』石川達三 |【感想】 棄てられた民たちの諦念と悲哀が現在の弱者とリンクする

芥川賞を全作読んでみよう第1回は、石川達三『蒼氓(そうぼう)』です。 芥川龍之介賞について 第一回芥川賞委員 第一回受賞作・候補作(昭和10年・1935年上半期) 受賞作『蒼氓』のあらすじ 物語の時代背景と感想 時代背景 弱者の愚かさとその普遍的な哀しみ …

『ニムロッド』上田岳弘 | 【感想】 仮想通貨採掘を背景に描かれる虚無的な人間関係

上田岳弘『ニムロッド』のあらすじと読書感想を紹介します。 都会的で心地よい虚無感を感じる文体です。

『推し、燃ゆ』宇佐美りん | 【感想】生活の全てをかけて推しを推す、絶対に繋がらない関係に見出す癒しと絶望

宇佐美りん『推し、燃ゆ』のあらすじと読書感想を紹介します。人のように上手くできない、と一度でも思ったことのある人は刺さる作品です。