書にいたる病

ものがたり大好き主婦の読書記録

青春

『i』西加奈子 | 【感想・ネタバレなし】この残酷な世界にアイは存在するのか。生きることへの祝福に満ちた物語

今日読んだのは、 西加奈子『i』です。 「この世界にアイは存在しません。」 アメリカ人の父と日本人の母との間に養子として育てられたアイは、その繊細さと聡明さで、自分の”恵まれた”境遇に罪悪感を抱きながら育ちます。 世界中で沢山の人が苦しく辛い思い…

『スウィングしなけりゃ意味がない』佐藤亜紀 | 【感想・ネタバレなし】どんな残酷な現実でも、スウィングするように自由に生きてやる。ナチ政権下のドイツを強かに生きる不良少年たちの輝かしい青春。

今回ご紹介するのは、佐藤亜紀『スウィングしなけりゃ意味がない』です。 ナチ政権下のハンブルクで、敵性音楽のジャズに夢中になる少年たちの危うくも輝かしい青春と、何もかもを台無しにする戦争の滑稽さと狂気。 あの狂気の時代にも、自分の感性と力をも…

『JR品川駅高輪口』柳美里 | 【感想・ネタバレなし】携帯電話で自殺掲示板を眺める女子高生は品川駅から約束の場所へ向かう。毎日毎刻生きることを選択し続ける、その尊さを温かな雨が濡らす

今回ご紹介するのは、柳美里『JR品川駅高輪口 (河出文庫)』です。 2020年度全米図書賞(National Book Awards 2020)の翻訳部門を受賞した『JR上野駅公園口』が連なる山手線シリーズの一作です。 そちらの感想はこちら↓ rukoo.hatenablog.com 本書は2011年に…

『さよならの夜食カフェ-マカン・マラン おしまい』古内一絵 | 【感想・ネタバレなし】マカン・マランシリーズ第4作。

今回ご紹介するのは、古内一絵『さよならの夜食カフェ-マカン・マラン おしまい (単行本)』です。 おしまい、ということは、もうこれがシリーズ最終作となるということですね。 ちょっと残念です。 でも、これまでのシャールさんに掬い上げられてきた各話の…

『ミカンの味』チョ・ナムジュ |【感想・ネタバレなし】「82年生まれ、キム・ジヨン」の著者の新作! 枝から切り取られた後も、自ら熟す青い果実たちの日々

今回ご紹介するのは、 チョ・ナムジュ『ミカンの味』です。 食や文化などあらゆる流行が韓国から流れて生きているように感じますが、文学でもそ傾向が近年強くなったと感じます。 著者のチョ・ナムジュは、『82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)』が大ベスト…

『サード・キッチン』白尾悠 | 【感想・ネタバレなし】理解が欲しいわけじゃない、ただ受け入れてほしい。自分の、あなたのそのままの姿を。

今回ご紹介するのは、白尾悠『サード・キッチン』です。 1998年、都立高校を卒業後、アメリカに留学した女性が、言語の壁や、様々なカルチャーショックを通して、臆病な自分と対峙していく物語です。 2020年の「ジョージ・フロイド事件」以降、「Black Lives…

『盤上に君はもういない』綾崎隼 | 【感想・ネタバレなし】もう一度だけあなたと指したい、二人の女性が挑戦する前人未到の女性のプロ棋士への闘い

今回ご紹介するのは、 綾崎隼『盤上に君はもういない』です。 史上初の女性プロ棋士を目指す二人の女性の熱い闘いとその裏に隠された切ない過去を描いた小説です。 "女流棋士"と"女性プロ棋士"は全く違うということを、今作で、はじめて知りました。 男女関…

『匠千暁シリーズ(タック&タカチシリーズ)』西澤保彦 | 【あらすじ・ネタバレなし】刊行順・時系列順、おすすめの順番にまとめてみました

『匠千暁シリーズ(タック&タカチシリーズ)』とは、ミステリ作家西澤保彦のデビュー作『解体諸因』から続くシリーズです。 主に、安槻大学という架空の大学に通う4人の学生を中心とした推理シリーズですが、刊行の順番と、作中の時系列がばらばらであり、…

『ひきなみ』千早茜 | 【感想】どれだけ傷めつけられても、脅かされないものがある

千早茜『ひきなみ』のあらすじと読書感想を紹介します。2人の少女の深い繋がりと、それがもたらす痛み。生きることの苦しみの果てに残る光が、新しい道をひらく。

『本と鍵の季節』米澤穂信 | 【感想・ネタバレなし】学校図書室で繰り広げられる、掛け替えのない友人とのほろ苦い青春の日々

米澤穂信『本と鍵の季節』のあらすじと感想を書きました。探偵二人というちょっと変わった構成に、男子高生同士の小気味よい会話の応酬、米澤ミステリらしいビターな持ち味が堪能できました。

『スイッチ 悪意の実験』潮谷験 | 【感想・ネタバレなし】メフィスト賞受賞作 自分以外の他人の破滅を呼ぶスイッチを渡された大学生6人の選択とは

潮谷験『スイッチ 悪意の実験』のあらすじと読書感想を紹介します。破滅的なラストか救済か最後まで読めないドキドキの読書が楽しめます。

『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ | 【感想】2019年本屋大賞受賞作、血のつながらない家族のいとも幸福な日々に涙溢れる

瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』のあらすじと読書感想を紹介します。親になることは、明日が二つになること、というセリフが印象的。

『この本を盗む者は』深緑野分 | 【感想・ネタバレなし】 本を読むという永遠の呪いにかけられた人間が一度は読むべき物語

深緑野分『この本を盗む者は』のあらすじと読書感想を紹介します。本にまつわる不可思議な呪いを描く、2021年本屋大賞では10位の快作。

『青年のための読書クラブ』桜庭一樹 【感想・ネタバレなし】乙女よ、青年たるものよ、永遠であれ!

桜庭一樹『青年のための読書クラブ』のあらすじと読書感想を紹介します。乙女よ、青年たるものよ、永遠であれ!

『ゴールデンタイムの消費期限』斜線堂有紀 | 【感想・ネタバレ】元天才児たちが集められた箱庭での本物のゴールデンタイムを描く爽やかな青春小説

斜線堂有紀『ゴールデンタイムの消費期限』のあらすじと読書感想を紹介します。AI×元天才児という異色の青春小説です。希望に満ちた子どもたちの選択が胸を打ちます。

『蒼海館の殺人』阿津川辰海 【感想・ネタバレなし】洪水が迫る館で起こる連続殺人事件、悩める若き探偵に朝はやってくる!

阿津川辰海『蒼海館の殺人』のあらすじと読書感想を紹介します。前作『紅蓮館の殺人』を上回る精緻なミステリに耽溺しました。

『紅蓮館の殺人』阿津川辰海 | 【感想・ネタバレなし】刻一刻と迫るタイムリミットのなかで、探偵の存在意義が試される。謎を解くことははたして善なのか。

阿津川辰海『紅蓮館の殺人』のあらすじと読書感想を紹介します。焼け落ちようとする館、怪しげな住人と遭難者、謎を解くことの意味が問われる意欲作でした。

『心が折れた夜のプレイリスト』竹宮ゆゆこ | 【感想・ネタバレなし】大学生、人生初の失恋、そして部屋の窓が閉まらない。少し不思議な学生時代を綴る青春小説

竹宮ゆゆこ『心が折れた夜のプレイリスト』のあらすじと読書感想を紹介します。不思議で何故か懐かしい一瞬の青春を切り取った小説です。

『シュガータイム』小川洋子 | 【感想】青春最後の日々・シュガータイムを透明な筆致で描く

小川洋子『シュガータイム』のあらすじと読書感想を紹介します。青春最後の透明で甘い日々が端整に描かれます。

『月のぶどう』寺地はるな | 【感想】凸凹な姉弟が営む心温まるワイナリーの物語

寺地はるな『月のぶどう』のあらすじと読書感想を紹介します。

『いいからしばらく黙ってろ!』竹宮ゆゆこ | 【感想・ネタバレ】荒々しく純粋に野蛮に生きろ! 私たちは、バーバリアン・スキル!

竹宮ゆゆこ『いいからしばらく黙ってろ!』のあらすじと読書感想を紹介します。弱小劇団を舞台にした爽快な青春小説です。

『推し、燃ゆ』宇佐美りん | 【感想】生活の全てをかけて推しを推す、絶対に繋がらない関係に見出す癒しと絶望

宇佐美りん『推し、燃ゆ』のあらすじと読書感想を紹介します。人のように上手くできない、と一度でも思ったことのある人は刺さる作品です。