書にいたる病

ものがたり大好き主婦の読書記録

『みずうみ』よしもとばなな|【感想】どんなに壊れていても人は生きていけるだろうか

 

本書は、大好きな作家、よしもとばななさんの小説『みずうみ (新潮文庫)』。

本書は、重い事情を背負う男女の恋を扱いながらも、表題のみずうみのように静かな希望に満ち、なんだかんだで生きていこうと決めた人の強さ、を感じさせる。

よしもとばななさんの話に出てくる人は、なぜか現実の知り合いのように親しく思い返してしまう。

『アムリタ』の朔ちゃんと真由と由男、『N・P』の萃と風美、『キッチン』のみかげさん、本書のちひろさんと中島くん。

昔からの友人のように懐かしく思い返してしまう。また会いたい、話したいな、と思ってしまう。会ったこともないのに。

よしもとばななさんのお話に出てくる人々は、何かしら重い何かを背負っていることが多いけど、本書の中島くん(主人公のボーイフレンド)は突出している。

読み終わった後、中島くん、どうか自殺だけはしないでね、と願ってしまった。ちひろさんがいてもいなくても、死ぬときは死ぬ人に思えてしまう。

 

中島くんの切実さ

そんな重~い過去を背負い、簡単に人に懐かず、どころか現世からも浮いていて、いついなくなってしまうか分からない、付き合うにはあまりに面倒くさい中島くんが、パリに留学する際、主人公ちひろさんを誘うシーンは胸に迫るものがある。

「それに行こうよ。いっしょに行こうよ。僕、もう一生こうやってちひろさんといることに決めたんだ。」 

中島くんは言った。

中島くんのような人が「決めた」というとき、それは本当に「決めた」ということがよくよく分かるし、ちひろさんの意見を事前に聞いたりしない、というのも、彼らしい。

 

その他、私の感想 をつらつらと

そういえば、私は今では主婦をやったりしているけど、実は自分は絶対に結婚しないだろう、と結婚することを決める3秒くらい前までは思っていたことを思い出した。

結局、その3秒後に結婚することを決めてしまったし、当時夫となる人は、プロポーズしたわけでもないのに、結婚することが決まって結構戸惑っていた。可哀そうだった。ごめんなさい。

さて、私事は置いて(私事でないことがこのブログにあったとして)、

読むと穏やかな気持ちになれます。

私も、ちひろさんのように、暴力の少ない人間になろうと努めたい。多分無理でも。

今回ご紹介した本はこちら

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rukoo.hatenablog.com