書にいたる病

ものがたり大好き主婦の読書記録

『MAZE』神原恵弥シリーズ第1作目 恩田陸 | 【感想・ネタバレなし】迷路に迷い込むように不可思議な土地に惑わされる

今回ご紹介するのは、恩田陸MAZE 新装版 神原恵弥シリーズ (双葉文庫)』です。

本書は神原恵弥シリーズと呼ばれる一連のシリーズの第1作目となります。

女言葉のイケメン、神原恵弥(かんばらめぐみ)が活躍する推理小説です。

主人公はじめ出てくる人物が切れ者ばかりで、読んでいてストレスのない小説、といえると思います。

小説でくらい愚鈍な奴とはおさらばしていたい、と思う私です。

ところで、実は3作目の『ブラック・ベルバット』から読んでしまい、読んでる途中にシリーズものと気づいて、本書を読み始めた、という経緯があります。

本や漫画を趣味にする人は、シリーズものを途中から読んで平気な人と、絶対1作目からしか読まない人、に分けられると思うのですが、私は完全に前者です。

漫画なんて3巻から読むことが多いくらいです。

だって、1巻はそうでもないけど、3巻からが面白くなる漫画って結構多くないですか?

3巻読んで面白ければ、1巻を読む、みたいな意地汚い読み方をしています。えへへ。

閑話休題

では、『MAZE』のあらすじ、感想など書いていきたいと思います。

あらすじ

時枝満は、高校時代の同級生、神原恵弥にアジアの西の果てに存在する不思議な場所へと招かれる。荒野の真ん中に立つ白い直方体の建造物、そこに一度足を踏み入れたきり、戻らない人間が数多くいるという。なぜ人は消えるのか、人間消失のルールを巡り、それぞれの思惑が交錯する。

 おすすめポイント 

 ''人が消える''というSFのような奇妙な謎に魅力を感じる方におすすめです。

また、主人公らのキャンプシーンで出てくる料理が美味しそうなのもおすすめポイントです。

主人公のキャラが濃いめですが、話の骨格がしっかりしているので、キャラ小説苦手、という人でも楽しめると思います。

 

なるべくネタバレしないようにしますが、気になる方はご注意ください。

登場人物

主人公:神原恵弥(かんばらめぐみ)

外資系製薬会社に勤める凄腕のウイルスハンター。

精悍・端正な見た目ながら女言葉で話す。

見たものを写真のように記憶する映像記憶能力、地図を3Dに変換して記憶する能力を持つ。

時枝満(ときえだみつる)

恵弥の高校時代の同級生。小太り。料理が得意でプロとして働いていたこともある。

ぬいぐるみのような警戒心を削ぐ見た目だが肝は太い。

人から相談を受けることが多い、らしい。

スコット

多分、米国軍人。穏やかな人格者。

セリム 

 50代くらいのインテリ風な現地人。

ぐいぐい引きまれ翻弄される物語

イケメンなのに女言葉で話す主人公、しかも外資系に勤める超エリート

料理が得意な家庭的な男、ほのぼの系かと思いきや以外に頭が切れる主人公の友人

この設定だけで、かなりお腹いっぱいですが、本書はキャラクター小説ではありません。そこはさすが恩田陸、魅力的な謎を提示してくれます。

時枝満は高校の同級生だった神原恵弥にある不思議な土地へと連れていかれます。

その土地は『存在しない場所』『有り得ぬ場所』と呼ばれ、深い谷を越えた先にある荒野で滅多に人の出入りがない場所でした。

その荒野の真ん中には灰色の植物に覆われた丘が立ち、その上には四角い箱のような不可思議な建築物が建っています(恵弥らはその建物をトーフと呼んでいます)。

トーフには、出入口が一ヵ所あり、そこから入った人間が何人も消えているというのです。

恵弥が満をその場所に連れてきたのは、7日間で過去のデータから、人間が消えるルールを見つけだすためでした。

「信じられない。こんな馬鹿げた、浮世離れしたことを本気でやる連中がいるなんて」

満は半分あきれ、半分恐怖を覚えながら首を左右に振った。

「いるのよ、ここに。じゃあ、正式に要請しましょう。あんたは、この人里離れた山奥の聖地で、安楽椅子探偵をやるために呼ばれたの。これでよろしいかしら」(p67)

魅力的な登場人物に、魅力的な謎から序盤からぐいぐい引き込まれていきます。

物語は満の視点から展開していきますが、どうやら恵弥・スコット・セリムはそれぞれの思惑があるようで、時折。緊張感のある会話が交わされます。

満の料理に舌鼓を打つキャンプのようなほのぼのしたシーン、謎を巡るピリッとしたシーンが交互に展開され、登場人物の少なさもあいまって、なんだか密室劇のような様相を呈しだします。

また、ホラーも手掛ける恩田陸らしく、終盤に向けて、ぞくっと背筋が凍るようなシーンが繰り広げられます。

このホラーシーンととあっけらかんとした真相の落差に、さすが恩田陸、翻弄させやがって~、という気分になりました。

今回ご紹介した本はこちら

神原恵弥シリーズの続刊

実は本シリーズは、『MAZE』だけ読むとちょっと物足りないかなあ、とも思いました。でも、シリーズ通して、じわじわ主人公神原恵弥の虜になっていきました。もし『MAZE』を呼んだと続刊を読んでいない方は、ぜひ読むことをお勧めします。

第2作目『クレオパトラの夢』

第3作目『ブラック・ベルベット』