書にいたる病

ものがたり大好き主婦の読書記録

『私の夫は冷凍庫に眠っている』八月美咲 | 【感想・ネタバレなし】殺したはずの夫が帰ってきた、緊迫感に耐え切れないサスペンス

今日読んだのは、八月美咲『私の夫は冷凍庫に眠っている』です。

人気小説サイト「エブリスタ」発のラブ・サスペンスで、ドラマ化、漫画化もしている注目作です。

www.tv-tokyo.co.jp

殺した夫を冷凍庫に隠したはずなのに、その夫が帰ってきた!という衝撃のあらすじにひかれ手に取りました。

それでは、あらすじと感想を書いていきます。

あらすじ

結婚願望の強い夏奈はある雨の日に偶然であった亮と結婚する。
しかし、亮との結婚生活は理想とは遠く、DVに耐えかねた夏奈は終に夫を殺してしまう。
物置の冷凍庫に死体を隠した夏奈の前に、翌朝殺したはずの夫が何食わぬ顔で帰ってきた。しかも、亮は何もなかったかのように優しい。恐怖する夏奈は「もう一度、殺すしかない」と思いつめるが……。

おすすめポイント 

最後まで緊張感のあるサスペンスが読みたい方におすすめです。

オチはある意味ベタですが、そこに一味スパイスが加わっているのがおすすめポイントです。

 

なるべくネタバレしないようにしますが、気になる方はご注意ください。

最後の一行まで目が離せない緊迫感 

「殺したはずの夫が帰ってきた」 、あまりのインパクトに出オチじゃないかと別の意味でドキドキしましたが、きっちり最後まで読ませる力があります。

まず、帰ってきた夫は何者なのか、物置の冷凍庫に押し込めた死体のことを彼は知っているのか、それを本人に直接聞けずに変わらぬ日常を過ごさなければならない状況が非常にストレスフルです。

そして、そんな中で出会う新たな人物・蒲田。亮の同僚であるこの男に夏奈はつい逃げ場所を求めてしまいます。

そして、逃亡した先に知る衝撃の事実、二転三転する真実に始終翻弄されます。

隣家の推理小説家・孔雀

地味な登場人物ですが、物語のキーパーソンだと私は思います。

最初は詮索好きで厄介なおばさん、という印象ですが、観察力鋭く、要所要所で重要な言動を残します。

ドラマでは斉藤由貴が演じていますが、原作の印象ではもう少しおばちゃんな印象です。

結婚て何?

「夏奈さん、自分を責めなくていいのよ。特に夫婦なんてね、誰よりも相手を分かっているつもりで、全く分かっていないものなのよ。分かっていると思うとその思い込みが、ますます真実を分からなくさせるの」

 孔雀の言葉ですが、夏奈の同僚には、亮はお弁当をつくってくれる優しい夫というイメージが浸透しています。でも、その実、夏奈はDVの末に夫を殺害しています。

本当に夫婦のことは本人たちにしかわかりません。

シングルマザーの母に育てられた夏奈は結婚願望がとにかく強い女性です。

しかし、なかなか結婚できません。

二十代前半で付き合った何人かの男性は結婚という言葉を口にした途端及び腰になり、

結婚相談所に行っても、良い出会いに恵まれません。

母には、『馬鹿じゃないの? 選り好みしてるからでしょ』とピシャリ。

対照的にシングルマザーである母は、仕事もでき男性にも何気にモテているような描写があります。

結婚・夫婦というただの言葉に惑わされ、自分や結婚相手をまっすぐに見ようとしない主体性の無さが夏奈を悲劇へと誘ったという見方もできるでしょう。

ただでさえ怖い物語なのに、結婚というものを経験していると更に怖い、最後までとことん怖い小説でした。

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