書にいたる病

活字中毒者の読書記録

名探偵音野順の事件簿シリーズ 北山猛邦 | 【まとめ・ネタバレなし】世界一気弱な名探偵と楽天家の推理小説家の凸凹コンビ

北山猛邦著『名探偵音野順の事件簿シリーズ』は東京創元社から刊行されている推理小説シリーズです。

2021年1月に12年ぶりに待望の新刊が発売されました!

気弱なひきこもりの名探偵・音野順とその友人で推理小説家の白瀬白夜のコンビが活躍します。

いやがる音野をなんとかかんとか事件に引っ張て行く楽天家の白瀬の間のやり取りや、強面で意地悪な岩飛警部、世界的指揮者である音野の兄・要など、個性豊かなキャラクターが活躍します。

そんな本シリーズの魅力を紹介していきたいと思います。

登場人物

音野順(おとのじゅん)

世界一気弱な名探偵。重度の人見知りでひきこもり。友人の白瀬のすすめでいやいや探偵業を開業する。事件現場に何故かお弁当を持参することが多い。

白瀬白夜(しらせびゃくや)

音野の大学からの友人。推理小説家。何事にも楽天的。

音野要(おとのかなめ)

音野順の兄で世界を股にかける指揮者。弟とは対照的に社交的で明朗快活な性格。

岩飛警部(いわとびけいぶ)

音野と白夜と面識のある警部。強面で粗暴な性格で音野に恐れられている。チーズケーキ好きと思われる言動がある。

 

なるべくネタバレしないようにしますが、気になる方はご注意ください。

1. 『踊るジョーカー』

 

名探偵・音野順の初事件です。

トリックとしては、実際には成立するのか?と疑問の余地のあるものが多いですが、音野と白瀬のキャラクターの持つ面白さでついつい最後まで読んでしまいます。

岩飛警部にケーキもお弁当も奪われる音野が可愛いです。

地下室で死んだ祖父の周囲に散らばっていたトランプの謎から犯人を導き出す表題作をはじめ、屋敷からアナログ時計だけが次々盗まれる「時間泥棒」、ゆきだるまの出来で婚約者の座を争う奇妙なイベント中に起きた殺人事件「ゆきだるまが殺しにやってくる」、キュートでコミカルなミステリ短編集。 

2.『密室から黒猫を取り出す方法』

 

相変わらず、音野と白瀬のコミカルなやり取りが魅力のシリーズ第2弾。

トリックには、実際には実現不可能では?、と思うものの、それまでどの事件にも消極的だった音野がはじめて積極的に事件を解決しようとする「音楽は凶器じゃない」はファン必読の短編です。

音野がなぜひきこもりになったのかの片鱗が感じられます。

せっかくつくった密室に黒猫が入り込んでしまった! コミカルな叙述トリックを描いた表題作をはじめ、UFO研究会という謎の組織が語る人喰いテレビの正体(「人喰いテレビ」)、音野順がはじめて信念を見せる(「音楽は凶器じゃない」)。世界一弱気な名探偵がいやいや活躍するシリーズ第2弾!

 

3.『天の川の舟乗り』 

 

待望のシリーズ第3弾ですが、シリーズを追うごとにどんどん音野のコミュ障がひどくなっている気がします……。

表題作の「天の川の舟乗り」では、音野の名探偵としてのスタンスがよく分かる作品です。

私個人としては、新キャラクター登場につい興奮してしまいました。

音野と白瀬、両方の友人である畑屋千一(はたやせんいち)

オカルト紙のジャーナリストでお調子者の彼が、今後シリーズにどう関わっていくか楽しみです。

『祭りの夜 金塊を頂く 怪盗マゼラン』、観光資源に悩む村に届けられた挑戦状。しかし現場で音野と白瀬が遭遇したのは不可解な殺人事件と湖の上を飛んで行ったボートの謎だった(「天の川の舟乗り」)。音野順の兄・音野要がイギリスの屋敷で怪人と活躍する(「怪人対音野要」)。外出嫌い名探偵シリーズ第3弾

 

まとめ

『名探偵音野順の事件簿シリーズ』の既刊は以下の通り

  1. 踊るジョーカー 名探偵音野順の事件簿
  2. 密室から黒猫を取り出す方法 名探偵音野順の事件簿 (創元推理文庫)
  3. 天の川の舟乗り 名探偵音野順の事件簿

世界一気弱で、ひきこもり、お弁当持参の名探偵音野順のポップとコミカルな魅力をぜひ堪能してください!