書にいたる病

活字中毒者の読書記録

2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『死にふさわしい罪』藤本ひとみ | 【感想・ネタバレなし】天才的な数学系男子が挑む謎としたたかな大人たち

今日読んだのは、藤本ひとみ『死にふさわしい罪』です。 歴史小説の大家というイメージがあったのですが、数学が得意な高校生が主人公のミステリということで、ちょっと気になって読んでみました。 ところどころ見え隠れするペダンティックな趣味と、決して…

『エチュード春一番 第三曲 幻想組曲』荻原規子 | 【感想・ネタバレなし】平将門の物語を蝦夷の少女の視線で再構築する。シリーズ第3巻。

今日読んだのは、荻原規子『エチュード春一番 第三曲 幻想組曲 [狼]』です。 八百万の神の一柱を名乗る白黒のパピヨン・”モノクロ”と同居する女子大生・美綾の生活を描いたファンタジーシリーズの第3巻です。 1巻2巻の感想はこちら↓ rukoo.hatenablog.com ru…

芥川賞を全作読んでみよう第7回『厚物咲』中山義秀 |【感想】骨の髄まで腐った老人が咲かせた美しい菊に透かし見る人生の艱難に抵抗した魂の秘密

芥川賞を全作読んでみよう第7回、中山義秀『厚物咲』をご紹介します。 芥川龍之介賞について 第七回芥川賞委員 第七回受賞作・候補作(昭和13年・1938年上半期) 受賞作『厚物咲』のあらすじ 感想 選評委員の評価 芥川賞には珍しい読後感 生き恥を晒し続けた…

『時空犯』潮谷験 |【感想・ネタバレなし】成功報酬1千万円。千回近くループし続ける”2018年6月1日”の謎を解け

今日読んだのは、潮谷験『時空犯』です。 デビュー作でメフィスト賞受賞作の『スイッチ 悪意の実験』がとてもユニークで面白かったので、2作目も読んでみました。 ある1日がループするなかで、殺人が起きる、というSFミステリです。 この設定のミステリでは…

『原因において自由な物語』五十嵐律人 |【感想・ネタバレなし】彼は誰が殺したのか、自由意志がもたらすある悲劇と夜明け

今日読んだのは、五十嵐律人『原因において自由な物語』です。 タイトルのカッコよさに惹かれて読みました。 法律用語の「原因において自由な行為」からきているらしいです。 弁護士でもある著者らしいタイトルだな、と思いました。 内容は、いじめ、自殺疑…