書にいたる病

活字中毒者の読書記録

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『平家物語』古川日出男訳 | 【感想・ネタバレなし】無数の死者の声がこだまする日本屈指のギガノベルが現代の”声”で甦る

今日読んだのは、古川日出男訳『平家物語 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集09)』です。 古川日出男のファンである私ですが、2016年に出版されたこちらは未読でした。 ”古川日出男オリジナル”じゃないしな~、という思いと、『平家物語』という合戦もの=固そ…

『もう泣かない電気毛布は裏切らない』神野紗希 | 【感想・ネタバレなし】俳人であり新妻であり母であり…他愛のない日常がきらめく今を生きる俳人のエッセイ集

今日読んだのは、神野紗希『もう泣かない電気毛布は裏切らない』です。 1983年生まれの現代に生きる女性であり、妻であり母であり、俳人でもある著者がどのように日々を綴るかに興味を惹かれ、読み始めました。 結婚、夫との日々、幼い息子の眼差し、俳句へ…

『風のベーコンサンド 高原カフェ日誌』柴田よしき | 【感想・ネタバレなし】爽やかな高原の風と、美味しい料理と共に描かれるちょっとほろ苦い人生模様

今日読んだのは、柴田よしき『風のベーコンサンド 高原カフェ日誌』です。 サスペンスに定評のある著者ですが、本書は高原のカフェを舞台とした穏やかな食べ物系小説です。 食べ物がテーマの話はなんでこんなに魅力があるんでしょうか。 高原にカフェをオー…

『自転車泥棒』呉明益 | 【感想・ネタバレなし】あの自転車はどこに消えたのか、父の自転車を追う旅はあの戦争の密林の奥地へと入っていく

今日読んだのは、呉明益『自転車泥棒』です。 2018年国際ブッカー賞候補作となった作品らしく、多言語的で幻想的な独特の読み応えがありました。 私は文庫で購入したのですが、挿入される自転車の精緻なイラストが美しく、これだけでも購入の価値があると思…

『ボーンヤードは語らない』市川憂人 | 【感想・ネタバレなし】人気シリーズ4弾は初の短編集。マリアと漣それぞれの過去の事件とは

今回ご紹介するのは、市川憂人『ボーンヤードは語らない』です。 21世紀の『そして誰もいなくなった』と選考委員に絶賛された第26回鮎川哲也賞受賞作『ジェリーフィッシュは凍らない』から続くマリア&漣シリーズ待望の第4作目です。 シリーズ第4作目は初の…