2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧
佐藤究『テスカトリポカ』のあらすじと読書感想を紹介します。
芥川賞を全作読んでみよう第4回その2、冨澤有爲男『地中海』をご紹介します。 芥川龍之介賞について 第四回芥川賞委員 第四回受賞作・候補作(昭和11年・1936年下半期) 同時受賞の『普賢』について 受賞作『地中海』のあらすじ 感想 端正な筆致による美しい…
芥川賞を全作読んでみよう第4回その1、石川淳『普賢』をご紹介します。 芥川龍之介賞について 第四回芥川賞委員 第四回受賞作・候補作(昭和11年・1936年下半期) 二作同時受賞について 受賞作『『普賢』のあらすじ 感想 饒舌な混沌 茂市という男 不可思議な…
芥川賞を全作読んでみよう第3回その2、小田嶽夫『城外』をご紹介します。 芥川龍之介賞について 第三回芥川賞委員 第三回受賞作・候補作(昭和11年・1936年上半期) 受賞作『城外』のあらすじ 感想 成長する若き愛情 中国への興味 著者の外交官経験 ただ『コ…
芥川賞を全作読んでみよう第3回、その1では、鶴田知也『コシャマイン記』をご紹介します。 芥川龍之介賞について 第三回芥川賞委員 第三回受賞作・候補作(昭和11年・1936年上半期) 受賞作『コシャマイン記』のあらすじ 感想 題材について 物語の徹底的な悲…
芥川賞を全作読んでみよう第2回は、第2回にしてなんと”受賞作なし”です。 ちょっとがくっときましたが、色々調べるうち、その裏側にはうねる歴史と人間のドラマがあることに気が付きました。 結構面白かったので、今回は、そのあたりを書いていきたいと思い…
芥川賞を全作読んでみよう第1回は、石川達三『蒼氓(そうぼう)』です。 芥川龍之介賞について 第一回芥川賞委員 第一回受賞作・候補作(昭和10年・1935年上半期) 受賞作『蒼氓』のあらすじ 物語の時代背景と感想 時代背景 弱者の愚かさとその普遍的な哀しみ …
今日読んだのは、 桐野夏生『奴隷小説』です。 「奴隷的状況」を題材とした短編を集めた作品集で、身体的にまたは精神的に束縛され、自由を奪われた人々の姿が豊穣な想像力の世界で立ち現れます。 本書を読むことで、奴隷であるとはどういうことは、翻って、…
今日読んだのは、 桐野夏生『バラカ』です。 ポスト3.11文学の極北と言って過言ではない巨編でした。 被爆地に突如降臨した少女・バラカ。 彼女の数奇な運命の遍歴と、人々の欲望と弱さのグロテスクさ。 また、全編の根底に流れるミソジニーの根深さにゾッと…
今日読んだのは、 西加奈子『i』です。 「この世界にアイは存在しません。」 アメリカ人の父と日本人の母との間に養子として育てられたアイは、その繊細さと聡明さで、自分の”恵まれた”境遇に罪悪感を抱きながら育ちます。 世界中で沢山の人が苦しく辛い思い…
今日読んだのは、 下村敦史『闇に香る嘘』です。 第60回江戸川乱歩賞受賞作のこちら。著者の下村敦史さんは9年間同賞に応募し続け、5度最終候補に残り落選を経験した先にやっと勝ち取った受賞だそうです。 この経歴だけでも尊敬してしまいます。 中国残留孤…
今日読んだのは、 西加奈子『漁港の肉子ちゃん』です。 インパクトのある題名に随分前から気になっていたのですが、なんとなく暗い話な気がして避けていました。 そんなとき、明石家さんまさんプロデュースでアニメ映画化する、という話を聞いて、これは暗い…
今日読んだのは、 佐藤亜紀『吸血鬼』です。 舞台は1845年のオーストリア帝国領最貧の寒村・ジェキ。 土着の風習が色濃く残る土地で、次々と人が怪死していきます。 が、ホラー小説やファンタジーなどではなく、著者の歴史に対する深い洞察に基づいた小説で…
今日読んだのは、桐野夏生『インドラネット』です。 政情不安が日常に根付くカンボジアを舞台に、コンプレックスの塊のような卑小な男が、人生のたった一つの光を切ないほど追い求めた成れの果てを見せられました。 異国情緒豊かな描写、濃ゆい登場人物、振…