書にいたる病

活字中毒者の読書記録

2021-07-01から1日間の記事一覧

『インドラネット』桐野夏生 | 【感想・ネタバレなし】卑小さを突き詰めた人間の切なさと東南アジアの深い闇が融合する現代の黙示録

今日読んだのは、桐野夏生『インドラネット』です。 政情不安が日常に根付くカンボジアを舞台に、コンプレックスの塊のような卑小な男が、人生のたった一つの光を切ないほど追い求めた成れの果てを見せられました。 異国情緒豊かな描写、濃ゆい登場人物、振…