書にいたる病

活字中毒者の読書記録

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『ファミリーポートレイト』桜庭一樹 | 【感想】母と娘の呪いのような愛憎、物語ることの渇望

桜庭一樹『ファミリーポートレイト』のあらすじと読書感想を紹介します。最後のシーンは、この世の母と娘の幸福な、そして失われた一瞬の時間に、祈りを捧げたくなるものでした。

『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』青柳碧人 | 【感想・ネタバレなし】赤ずきんが探偵の異色の童話×ミステリ、ねえ、あなたの犯罪計画は、どうしてそんな杜撰なの?

青柳碧人『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』のあらすじと読書感想を紹介します。「ねえ、あなたの犯罪計画は、どうしてそんな杜撰なの?」

『ヒールをぬいでラーメンを』栗山圭介 | 【感想】失恋・失職のどん底OLがラーメン道をひた走る。勇気づけられるお仕事小説。

栗山圭介『ヒールをぬいでラーメンを』のあらすじと読書感想を紹介します。飲食店経営だけでなく、夢にチャレンジする全ての人に贈られた元気いっぱいの小説でした。

『女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN』森博嗣 | 【感想・ネタバレなし】女王が統治する死が存在しない街で、人間の尊厳の在処を宣言される

森博嗣『女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN』のあらすじと読書感想を紹介します。死が限りなく薄まった未来で、生とはどんな価値を持つかを論じた今読んでも新しいミステリでした。

『夢見る帝国図書館』中島京子 | 【感想】ゆめみるものたちの楽園 真理がわれらを自由にするところ

中島京子『夢見る帝国図書館』のあらすじと読書感想を紹介します。戦後を生きた女性の数奇な人生と、日本ではじめての図書館の時局に翻弄された歴史が響き合い力強い物語となって読者い響きます。

『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ | 【感想】2019年本屋大賞受賞作、血のつながらない家族のいとも幸福な日々に涙溢れる

瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』のあらすじと読書感想を紹介します。親になることは、明日が二つになること、というセリフが印象的。

『少年の名はジルベール』竹宮惠子 | 【感想】少女漫画の常識を覆した革命家的漫画家の自伝的エッセイ

竹宮惠子『少年の名はジルベール』のあらすじと読書感想を紹介します。伝説の少女漫画家が綴る、物語より心熱くなる自伝エッセイです。

『この本を盗む者は』深緑野分 | 【感想・ネタバレなし】 本を読むという永遠の呪いにかけられた人間が一度は読むべき物語

深緑野分『この本を盗む者は』のあらすじと読書感想を紹介します。本にまつわる不可思議な呪いを描く、2021年本屋大賞では10位の快作。

『青年のための読書クラブ』桜庭一樹 【感想・ネタバレなし】乙女よ、青年たるものよ、永遠であれ!

桜庭一樹『青年のための読書クラブ』のあらすじと読書感想を紹介します。乙女よ、青年たるものよ、永遠であれ!

『輝ける鼻のどんぐ』エドワード ・リア(文)、エドワード ・ゴーリー(絵) | 【感想】恋の闇路を独り行く、輝ける鼻を持ち男のナンセンスで哀切な物語

絵本『輝ける鼻のどんぐ』のあらすじと読書感想を紹介します。恋の狂気を孤独に歩む男と、ゴーリーの精密な線画が格調高い文学性を感じさせる大人のための絵本です。

『神様のボート 』江國香織 | 【感想】恋に狂った母親と娘の放浪の日々、母娘の蜜月とその終焉までの遥かな旅路

江國香織『神様のボート 』のあらすじと読書感想を紹介します。母と娘の幸せな時間とそれが終わるまでの長い旅路を静かに描く物語です。

『ゴールデンタイムの消費期限』斜線堂有紀 | 【感想・ネタバレ】元天才児たちが集められた箱庭での本物のゴールデンタイムを描く爽やかな青春小説

斜線堂有紀『ゴールデンタイムの消費期限』のあらすじと読書感想を紹介します。AI×元天才児という異色の青春小説です。希望に満ちた子どもたちの選択が胸を打ちます。

『蒼海館の殺人』阿津川辰海 【感想・ネタバレなし】洪水が迫る館で起こる連続殺人事件、悩める若き探偵に朝はやってくる!

阿津川辰海『蒼海館の殺人』のあらすじと読書感想を紹介します。前作『紅蓮館の殺人』を上回る精緻なミステリに耽溺しました。

『紅蓮館の殺人』阿津川辰海 | 【感想・ネタバレなし】刻一刻と迫るタイムリミットのなかで、探偵の存在意義が試される。謎を解くことははたして善なのか。

阿津川辰海『紅蓮館の殺人』のあらすじと読書感想を紹介します。焼け落ちようとする館、怪しげな住人と遭難者、謎を解くことの意味が問われる意欲作でした。

『心が折れた夜のプレイリスト』竹宮ゆゆこ | 【感想・ネタバレなし】大学生、人生初の失恋、そして部屋の窓が閉まらない。少し不思議な学生時代を綴る青春小説

竹宮ゆゆこ『心が折れた夜のプレイリスト』のあらすじと読書感想を紹介します。不思議で何故か懐かしい一瞬の青春を切り取った小説です。

『ハロー・ワールド』藤井太洋 | 【感想】テクノロジーが創る未来を明るい確信で描く短編集

藤井太洋『ハロー・ワールド』のあらすじと読書感想を紹介します。インターネットの検閲、ドローン、仮想通貨を巡るエンジニア・文椎の熱い闘いと未来への明るい眼差しを描く。

『雪と珊瑚と』 梨木香歩 | 【感想】シングルマザーが森の中に総菜カフェをオープンするまでの軌跡を描く、葛藤と幸福な物語。

梨木香歩『雪と珊瑚と』のあらすじと読書感想を紹介します。一人の女性が困難な生い立ちのなかから生き方を切り開いていく様を描く強い一冊です。

『ベルカ、吠えないのか?』古川日出男 | 【感想・ネタバレなし】犬の系譜が語る異形の20世紀史、イヌよ、イヌよ、お前たちはどこにいる?

古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』のあらすじと読書感想を紹介します。イヌよ、イヌよ、お前たちはどこにいる?

『食堂メッシタ』山口恵以子 | 【感想・ネタバレなし】イタリアの料理を愛した清々しくたくましい女性シェフの半生を描く美味しい作品

山口恵以子『食堂メッシタ』のあらすじと読書感想を紹介します。ページから湯気が立ち昇るような美味しい一冊です。

『楽園とは探偵の不在なり』斜線堂有紀 | 【感想・ネタバレなし】異形のSF×ミステリ なぜ探偵は謎を解かねばならないのかを問う作品

斜線堂有紀『楽園とは探偵の不在なり』のあらすじと読書感想を紹介します。2人殺せば地獄行きの世界で起こった連続殺人事件を追う異形のミステリです。

『シュガータイム』小川洋子 | 【感想】青春最後の日々・シュガータイムを透明な筆致で描く

小川洋子『シュガータイム』のあらすじと読書感想を紹介します。青春最後の透明で甘い日々が端整に描かれます。

『ハイパーハードボイルドグルメリポート』上出遼平 | 【感想】衝撃の深夜グルメ番組の書籍版・食を追うことで見える咀嚼できない圧倒的現実

上出遼平『ハイパーハードボイルドグルメリポート』のあらすじと読書感想を紹介します。撃の深夜グルメ番組の書籍版、食を追うことで見える咀嚼できない圧倒的現実に胸打たれます。

『かきがら』小池昌代 | 【感想】かきがら、がらがら。ざらざらとした言葉と生命の生温かい手触り

小池昌代『かきがら』のあらすじと読書感想を紹介します。美しい装丁にも注目したい1冊です。

『錆びた太陽』恩田陸 | 【感想・ネタバレなし】直木賞受賞後第1作 放射能汚染地域を巡回するロボットが目撃する人間の姿とは

恩田陸『錆びた太陽』のあらすじと読書感想を紹介します。

『月のぶどう』寺地はるな | 【感想】凸凹な姉弟が営む心温まるワイナリーの物語

寺地はるな『月のぶどう』のあらすじと読書感想を紹介します。

『ルビンの壺が割れた』宿野かほる | 【感想・ネタバレなし】何気ないフェイスブックでの会話が衝撃のラストをもたらす

宿野かほる 『ルビンの壺が割れた』のあらすじと読書感想を紹介します。

『ブラック・ベルベット』神原恵弥シリーズ第3作目 恩田陸 | 【感想・ネタバレなし】増殖する謎と巧みな伏線回収が魅せる巧みなストーリー

恩田陸『ブラック・ベルベット』神原恵弥シリーズ第3作目のあらすじと読書感想を紹介します。

『クレオパトラの夢』神原恵弥シリーズ第2作目 恩田陸 | 【感想・ネタバレなし】北の大地で繰り広げられる人間劇と秘められた禁忌とは

恩田陸『クレオパトラの夢』神原恵弥シリーズ第2作目のあらすじと読書感想を紹介します。

『MAZE』神原恵弥シリーズ第1作目 恩田陸 | 【感想・ネタバレなし】迷路に迷い込むように不可思議な土地に惑わされる

恩田陸『MAZE』神原恵弥シリーズ第1作目のあらすじと読書感想を紹介します。

『ニムロッド』上田岳弘 | 【感想】 仮想通貨採掘を背景に描かれる虚無的な人間関係

上田岳弘『ニムロッド』のあらすじと読書感想を紹介します。 都会的で心地よい虚無感を感じる文体です。